薬物とは何でしょうか?

薬物とは

精神に影響を及ぼす物質の中で、覚せい剤、大麻、コカイン、ヘロイン、MDM、シンナー等習慣性があり、乱用され又は乱用されるおそれのあるものをいいます。

覚せい剤とは

「覚せい剤取締法」では、一般名メタンフェタミン、アンフェタミン及びその塩類並びにこれらを含有する物を「覚せい剤」として規制の対象にしています。

覚せい剤は、麻黄(マオウ)という植物から抽出されたエフェドリン等を原料として、科学的に合成して製造され、形状は白色の粉末又は無色透明の結晶で、無臭でやや苦みがあり、俗に「シャブ」、「S(エス)」、「スピード」等と呼ばれています。

 わが国で乱用されている覚せい剤は、そのほとんどが中国などの海外から密輸入されたもので、その背後には覚せい剤の密売を最大の資金源にする暴力団が深く関与しています。

覚せい剤には神経を興奮させる作用があり、使用すると眠気や疲労感がなくなり、頭が冴えたような感覚になります。しかし、そのような効果も数時間で切れ、その後は激しい脱力感、疲労感、倦怠感に襲われます。

乱用を続けると、過度の睡眠不足と食欲減退により身体が衰弱するほか、壁のしみが人の顔に見える、いつもみんなが自分の悪口を言っている、警察に追われている、だれかに命をねらわれているなどの幻覚や妄想が現れ、時には錯乱状になって、発作的に他人に暴行を加えたり、殺害したりすることがあります。また、急性中毒になると、全身けいれんを起こし、意識を失い、最後には脳出血により死亡する場合もあります。

△このページの先頭へ

大麻とは

大麻とは、アサ科の1年草である大麻草とその製品をいい、「大麻取締法」で規制されています。

大麻には、大麻草の葉を乾燥させた乾燥大麻(マリファナ)、樹脂や若芽をすりつぶして固めた大麻樹脂(ハシッシュ)、葉や樹脂から成分を抽出した液体大麻(ハシッシュオイル)があります。

大麻を使用すると、一般的には、気分が快活、陽気になり、よくしゃべるようになるといわれていますが、その一方で、視覚、聴覚、味覚、触覚等の感覚が過敏になり、変調を来したり、現在、過去、未来の観念が混同して、思考が分裂し、感情が不安定になったりします。このため、興奮状態に陥って、暴力的、挑発的行為を行うことがあり、さらには、幻覚や妄想等に襲われるようになります。

また、初めての乱用で大量の大麻を摂取したような場合には、意識障害を伴う中毒性精神病状態となることがあります。

身体的影響としては、はき気、めまい、筋力の低下、平衡感覚の障害等が現れるほか、大麻の常用が生殖機能に支障をきたし、不妊、流産、胎児の死亡を起こしたり、染色体異常が現れるとの報告があります。

△このページの先頭へ

コカインとは

コカインは、南米原産のコカの木の葉を原料とした薬物で、無色の結晶又は白色の結晶性粉末で無臭で苦みがあり、「麻薬及び向精神薬取締法」で麻薬として規制されています。

コカのほとんどはコロンビア、ペルー、ボリビアの3か国て栽培され、その多くがコロンビアにある密造工場に運ばれてコカインが作られ、密輸はその大半をコロンビアの麻薬犯罪組織が支配しています。

コカインには、覚せい剤と同様に神経を興奮させる作用があるため、気分が高揚し、眠気や疲労感がなくなったり、体が軽く感じられ、腕力、知力がついたという錯覚が起こります。しかし、覚せい剤に比べて、その効果の持続時間が30分程度と短いため、精神的依存が形成されると、一日に何度も乱用するようになります。乱用を続けると、幻覚等の精神障害が現れたり、虫が皮膚内を動き回っているような不快な感覚に襲われて、実在しないその虫を殺そうと自らの皮膚を針で刺したりすることもあります。

コカインを大量に使用した場合、呼吸麻痺や心停止により死亡することがあります。

クラックは、コカインと重曹を化学的に処理して作られるもので、火であぶり、その煙を吸うなどの方法により、アメリカを中心に乱用されています。

覚せい剤や普通のコカインに比べて、薬理作用が強烈でかつ即効性があり吸煙後10数秒くらいで、中枢神経を興奮させる作用が急激に現れます。

しかし、作用の持続力は5分から20分と短く、その後強い不快感に襲われるため、再度使用し、短期間で依存に陥りやすい大変危険な薬物です。

乱用を続けると、幻覚、妄想が現れるほか、一度に大量を使用すると、呼吸困難を引き起こし、死亡することがあります。

△このページの先頭へ

ヘロインとは

ヘロインは、けしを原料とした薬物で(けしからあへんを採取し、あへんから抽出したモルヒネを製造して作られます。)、「麻薬及び向精神薬取締法」で麻薬として規制されています。

純粋なヘロインは白色粉末ですが、純度が低いものには灰色や灰褐色のものもあり、粉末のほかに棒状、板状、粒状などさまざまな形状のものがあります。一般的には無臭ですが、中には酢酸の臭いのするものがあります。

ヘロインの原料となるけしの主な不正栽培地域は、タイ、ミャンマー、ラオス3国の国境一帯(黄金の三角地帯)と、パキスタン、イラン、アフガニスタン3国の国境一帯(黄金の三日月地帯)で、そこで作られたヘロインやあへんが日本に密輸入されています。

ヘロインには神経を抑制する作用があり、使用すると強い陶酔感を覚えることから、このような快感が忘れられず、使用を繰り返すようになり、強い精神的依存が形成されます。さらに、強い身体的依存が形成され、2〜3時間ごとに使用しなければ、体中の筋肉に激痛が走り、骨がバラバラになって飛散するかと思うほどの痛み、嘔吐、失神等の激しい禁断症状に苦しむこととなり、あまりの苦しさから精神異常をきたすこともあります。

△このページの先頭へ

あへんとは

あへんは、けしから採取した液汁を凝固させたもので、黒褐色で特殊な臭気(アンモニア臭)と苦みがあります。原料であるけしの栽培やあへんの採取、あへん及びけしがらの密輸入、所持等は「あへん法」により規制されています。

あへんの乱用は、精神的、身体的依存性を生じやすく、常用するようになると慢性中毒症状を起こし、脱力感、倦怠感を感じるようになり、やがて精神錯乱を伴う衰弱状態に至ります。

△このページの先頭へ

MDM・MDAとは

MDM・MDAは合成麻薬(化学薬品から合成された麻薬)の一種で、「麻薬及び向精神薬取締法」の規制の対象になっています。

MDMAは、別名エクスタシーとも呼ばれ、白色結晶性粉末ですが、一般的には、錠剤又はカプセルの形で密売されています。

MDAは、別名ラブドラッグとも呼ばれ、白色粉末ですが、その純度によって黄色や茶色のものがあり、まれに琥珀色のものもあります。

MDM・MDAの薬理作用は類似しており、視覚、聴覚を変化させる作用があり、幸福な気分になったり、他人に対する近親感が増したりするといわれていますが、その反面、不安不眠等に悩まされることになります。

また、強い精神的依存性を持っており、乱用を続けると錯乱状態になり、腎・肝障害や記憶障害等の症状も現れます。

△このページの先頭へ

LSDとは

LSDは、合成麻薬の一種で、「麻薬及び向精神薬取締法」の規制の対象とされ、形状には、錠剤、カプセル、ゼラチン、水溶液を染み込ませた紙片等があります。

LSDを使用すると、幻覚、幻聴、時間の感覚の欠如等強烈な幻覚作用が現れます。特に幻覚作用が強く、ほんのわずかな量だけで、物の形が変形、巨大化して見えたり、色とりどりの光が見えたりする状態が8〜12時間続きます。また、乱用を続けると、長期にわたって精神分裂等の精神障害をきたすこともあります。

△このページの先頭へ

向精神薬とは

向精神薬は、中枢神経に作用して、精神機能に影響を及ぼす物質で、その薬理作用によって、鎮静剤系と興奮剤系に大別されます。

 向精神薬は医療目的に開発されたもので、医師の指示もなく乱用された場合、心身に様々な障害を及ぼすなどたいへん危険なため、その不正取り引きは「麻薬及び向精神薬取締法」により規制されています。最近では、タイからの大量密輸入事犯が目立っています。

△このページの先頭へ

シンナー等の有機溶剤とは

シンナーとは塗料を薄めるために使用される有機溶剤のことをいい、トルエン、接着剤、塗料、充てん料とともに「毒物及び劇物取締法」により、その乱用等が規制されています。

シンナー等は、依然として少年を中心に乱用されています。

シンナー等有機溶剤を乱用すると、神経が抑制されてぼんやりとし、酒に酔ったような感じになります。乱用を続けると、集中力、判断力が低下し、何事にも無気力になるほか、幻覚、妄想などの精神障害が現れます。

また、身体に与える影響も大きく、心臓、肝臓、腎臓、呼吸器系、生殖器官系等の各種器官に障害が起こります。特に恐ろしいのは、乱用によって大脳が萎縮し、一度破壊された脳の働きはたとえ乱用をやめても決して元に戻らないことです。

さらに、過度に吸入した場合には、呼吸中枢が麻痺すること等により、窒息死することもあります。

△このページの先頭へ

Valid XHTML 1.0 Valid CSS

お問い合わせ | サイトマップ | ご利用案内 | 薬剤師会 | Copyright(C)2004 Sasebo Pharmaceutical Association All Rights Reserved.